最近、書きたいことはたくさんあるのにブログをかけない状況なのですが、
RTCのメモだけは熱いうちに必ずアップ。
というわけで、
RTCカンファレンスVol.23『新興市場の功罪』に行ってきました。
■スピーカー
上原仁:株式会社マイネット・ジャパン 代表取締役社長
昨年株式会社マイネット・ジャパンを起業し今はベンチャー企業経営者として事業の拡大、成長を目指す経営者。同社は先日、増資を行い、ゆくゆくは株式公開を目指す立場。
保田隆明:ワクワク経済研究所 代表
証券会社、起業、ベンチャーキャピタルでの勤務経験を有し、著書「なぜ株式投資はもうからないのか」の中では「日本の新興市場における問題点」という章をも盛り込む。
こんな2人で議論を深めてみたいと思います。詳細はこちら↓
■RTCカンファレンスVol.23 『新興市場の功罪』
日時:5月29日(火)19:15~21:15 (19:00受付)
事前告知の中では、ちょうさんと上原さん二人で行われると思いきや、
特別ゲストで経済産業省の方がいらっしゃり、政府としての新興市場への
立場、役割、取り組みなどを紹介されました。
全体的な感想としては、官僚の方のご意見は、至極もっともなのですが、
政府広報のパンフレットのようであり、何か「響くもの」やリアリティがちょっと無かったかなと
思います。基盤整備やヒトやカネのネットワーク化する、事業評価する、
支援制度、税制を作るそれぞれあるのだけれど、個々別のケースに行くと
「自己責任」というのがついて回る。
結局、その自己責任というプレッシャーがあったりするから、
「上場をゴールとする」経営や起業になったりするわけで、
「上場して、マーケットからお金を調達してさらに成長をドライブする」という方向性には
どうしても行きにくいわけです。そこをもっと突っ込んで聞きたかったし、議論したかった。
「金融リテラシーが低い」という指摘には、ごもっともと思いますが、
高くなったら、さらに経済合理性で動く経営者が増えるのではないか。
必要なのは、100年先を見据える先見性のある経営者であって、
お金以上に、ビジョンや価値を重視しているヒトの育成が必要なのだと思います。
セッションの中で、熱くなっていたトピックとして、
1.新興市場でバイアウトマーケットが日本にない(ex.シリコンバレー)
2.「黒い世界」とどう付き合っていくか(ベンチャーが大きくなるには通らなければならない)
というところ。
今を読み解く上では重要な論点だと思いますので、引き続き考えていけたらと思います。
以下、内容のオーラルメモです。
(経済産業省の方はあくまでおしのび、私見であるというのをおっしゃってましたので、
メモもそのつもりで)
RTCカンファレンス 「新興市場の功罪」
経済産業省 政策局産業資金課 宮下誠一さん
同 新規産業室 渡邊知史さん
#私人としての参加です!!
上原仁:株式会社マイネット・ジャパン 代表取締役社長
保田隆明:ワクワク経済研究所 代表
<自己紹介>
宮下さん
ファンド関係の施策、産業にかかわる資金供給
日本の経済、産業でどうやって資金調達をするか、
どうやってリスクマネーを配分していくかというのを考えるところ。
渡邊さん
産業政策の中で横串をさすところ。
ベンチャー全般、中小企業にかかわる施策をやってきた
ドリームゲートなどで創業意識の喚起
ベンチャー税制関連もやってきた。
<カンファレンス>
Q1.ベンチャー企業や新興市場に対してどのような役割?
宮下さん
すでに上場している会社については金融庁が担当。
市場そのものに関してはどうこう言う立場にはないが、
上場する企業を支援するのが経済産業省という位置づけ。
具体的には、税、会計などの面からサポート。
渡邊さん
金融庁は規制、経済産業省は推進する立場。
ベンチャーファンドのあり方などを制度的に考えている。
Q2.新興企業の不正決算、会計不祥事の原因はどこにある?
宮下さん
第一に、新興市場が乱立したことによって上場審査が適切に行われていたか
というのがある。設立理念がちゃんと守られているのかということも。
証券会社の問題もきっとある。その複合だと考えている。
渡邊さん
すべて、金融リテラシーが足りない。
上場するのが全てとしている。上場後、調達した資金で、成長を加速化するという感覚を
持っている経営者がどれくらいいるか。投資家もそれを求めている人が
どれくらいいるか。上場するというのが正しい訳ではない。
経営、サポート、投資をする人、すべてのステクホルダーの意識が足りない。
Q3.ベンチャー企業の取り締まりを厳しくするようですが、経済産業省は?
宮下さん
金融庁と一緒にやっていく。市場とは資金調達の場であるということだ。
渡邊さん
経済産業省としてすばらしい回答なので、特にないです。(笑い
保田さん
取り締まりが厳しくなるというわけでもない?
宮下さん
長引く低迷によって、問題意識はあるけれど、情報はきていない。
Q5新規産業創出について、経済産業省はどのような取り組みを?
渡邊さん
ドリームゲートのような起業支援、資金調達支援をしている。
起業、新規産業創出は、雇用を生むという観点からも大事。
具体的に良いベンチャー企業を発見して、国がお金をいれるのは難しいので、
今やっていることは、基礎的な部分のネットワークを作ろうとしている。
経営に必要なヒト、モノ、カネの準備、ネットワーク上で一元的にできるような
仕組みを検討している。
さらに、公的調達というのがある。
(具体的には、防衛庁がレーザー装置を発注して、入札させるような仕組み)
今はベンチャーにとって公的調達は参入障壁が高い。
過去は2%くらいしか受注していない。
ベンチャーは企業の格の面で落とされるケースが多い。
アメリカは必ず何%をベンチャーに受注させるという仕組みがある。
宮下さん
中小企業基盤整備機構ががんばれ中小企業ファンドを作って支援してる。
Q6.新興企業の資金供給源が限られているという意見がありますが、どうですか?
宮下さん
ベンチャーのステージやビジネスによって資金供給の
やりやすさというのがあるが、上場を目指さない場合難しいかもしれないが、
上場がすべてではない。そのバランス感覚が大事だと思う。
長期的なビジョンが大事。
渡邊さん
事業リスクが高い場合はエクイティで取らなければいけないが、
リスクが低い場合はエクイティに限らない。
それを踏まえて、上場以外に、株式交換やM&Aというエクジットもある。
事業売却などもありえる。
上原さん
日本にはバイアウトのマーケットがない。
渡邊さん
今年から三角合併も可能になる。企業合併に意識がふられていくだろう。
会社は経営者が持っているという日本の古い感覚がおかしいと思う。
上場の売却益を狙うという感覚よりも、他社に売っても同じだと思う。
そういう点は識者から吸収したらよいと思う。
保田さん
間接金融でも銀行のローンは渋ってるんじゃないですか?
銀行に対して、指導していたのは金融庁?
宮下さん
昔に比べれば、それほどでも無い。そうです。
Q7.日本は起業環境が厳しい。原因と改善策は?
渡邊さん
ひとつは公的調達という解。
エンジェルが少ない。裏で投資しているヒトは多いが、
表でやっているヒトが少ない。アメリカはそのネットワークがあったからだ。
シリコンバレーではその風潮があった。
日本はそういったネットワークが足りないので、作っていこうとしている。
4月から始まったエンジェル税制は経済産業省が公表することになっているが、
まだゼロ社。エンジェル税制を知りたいヒトは、グーグルでエンジェル税制と入れてください。(笑い
#エンジェル税制は、
#ベンチャーに対して株を取得、売却益にはほとんど課税されない。
仁さん
エンジェルもいわゆる黒い人たちがいるのですが。。。
渡邊さん
基本的には、ベンチャー企業が自己責任で判断するしかない。
黒いヒトを制度で判断するのは難しい。ベンチャーも黒い会社もある。
Q8.一方で、健全な熱い思いのベンチャー起業、経営者もいる。そのサポート、支援体制は?
渡邊さん
ツールはたくさんある。知られていないだけ。
経済産業省に来ると、たらいまわしにされるので、(笑
お近くの経済産業局に行くと詳しく説明を受けることができます。
保田さん
アメリカに比べると、手薄な気がする
仁さん
分かりにくい。間口が狭い。ややこしい。
渡邊さん
おっしゃるとおり。その認識はある。
Q9.新興市場、ベンチャー企業の問題として、
VCにプロが少ない
ベンチャー経営者も未熟
株式市場が未整備
というのがあるが、思うことは?
渡邊さん
VCで20社でびっくりしたという話があったが、日本のVCの資金を集めても
1兆数千億。アメリカは27兆くらいだったと思う。資金規模で行くととても小さい。
資金が少ないから、プロが少ないのかどちらが先か分からないが、
どれかがひとつよくなれば、すべてよくなるかもしれない。
今年からはVCのは対策をうっているし、人材という点ではネットワーク化していくことで
対応していく。
VCのヒトは金融商品取引法、ハンズオン人材が少ない。
銀行系の人材が多い。発想としてベンチャーにいかない。
中学、高校で企業化教育というのをやってたりする。
宮下さん
一芸で上場する、アイデアを形にするということと、
永続的に経営していくことというのは、同じではない。
絶えず、アイデアを出し続け、形にし続けなければいけない。
そういう意味で、ベンチャーに集まるヒトが少ないと思う。
<質疑応答>
Q1
ドリームゲートやってました。中身のないベンチャーが多かったという感覚がある。
金融リテラシーを高くするにはどうしたらよいんですか?
渡邊さん
DGは良いビジネスプランがあれば、企業しようとさせてたかもしれない。
そこはメンターがフォローしていくべきで、メンターも増やしていかなきゃいけなかった。
今後ネットワーク化していくことで、そこもフォローされるとおもう。
Q2
経済産業省の外郭団体から資金をもらっている。
web2.0といえば、そこに起業するヒトがおおい。
全体から見て、面白そうなジャンルとか市場はありますか?
渡邊さん
面白いと思っているのは、プレイヤーの数が多いところが面白いと思う。
自動車には入っていけないが、住宅はとても多かったりする。
インフラ系ならRFID、流通関連がヒトが多い。
宮下さん
ポイント業界が面白い。ビックカメラとANAとか。