この展覧会にて、改修工事に入ると言う東京ステーションギャラリーで前川國男展をやっていると聞きつけ、行ってきました。
内容の充実っぷりにビックリしました。
コルビジェに師事し、レーモンドの事務所に入り、木村産業研究所を建設。
前川國男展 開催概要
建築家。新潟市に生まれる。1928年東京帝国大学工学部建築学科を卒業後に渡仏、1928-30年、ル・コルビュジエに師事した後、帰国。1930-35年レーモンド建築設計事務所に勤務。1935年、前川國男建築設計事務所を設立。設計作品に、紀伊國屋書店、神奈川県立図書館・音楽堂、京都会館、東京文化会館、埼玉県立博物館、東京都美術館、東京海上ビル、熊本県立美術館など。日本建築学会大賞、毎日芸術賞、朝日賞などを受賞。
久しく、建築は芸術ではない。ときっぱりは思わないまでも、
「完全なる美」を追求する「芸術作品」であってよいのかという疑問がありました。
これは学生時代の友人と散々議論して答えが出なかった問いです。
建築を志す友人は、建築はアートな側面もあるけれど、
施主が全てであり、施主を満足させるものがベスト。
という主張をし続けていたと思います。
否定はしないのですが、何か、
「お客様は神様です」と同じ違和感を感じます。
「お客様は神様」とはよく言ったものですが、
「お客様は神様ではなく、王様です」は言いえて妙です。
顧客は全知全能の神ではありません。むしろ提供者側のほうが、
専門的な知識や先進的な考えを持っているケースが多分にあります。
その場合、サービス提供者側が顧客のニーズの一歩先を提示してあげて、
その先を行く体験を顧客が享受できるような、そんな種類の満足度が最も
顧客のためになると信じます。
その観点で行くと、もちろん施主の意向もかなえる必要はあるのですが、
建築のような生活に密着した構造物では、構成要素や物質、構造、デザインから、
生活を提案するといったことが必要なわけです。
この展覧会で分かったことは、建築に必要なものとして
社会的必然性と技術的鍛錬。そして無償の美。
建築が単なる芸術作品(=ファッション)に成り下がることが無いのはそのためだ。